ふたり。


男は私の手を握ったまま高級マンションの中に入っていった。

男はスムーズにエレベーターに乗り込むと迷わず最上階のボタンを押した。


「もしかして、本当にホストなの?」
私は恐る恐る質問した。

男はそんな私を見るとケラケラ笑い出した。

「なによ!」

私は男の手を振りほどいた。

「俺、こう見えても高校教師なんだけど」
男はまた強く私の手を握った。

「高校教師?嘘でしょ、そんな恰好で?」

私は必死に手を解こうとした。
でも到底男の力には勝てない。


エレベーターが最上階に着いた。
男が私の手を引いてエレベーターを降りた。
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