光の翼【編集中】
「光梨、ほんまにおめでとう。」
夕暮れの通学路。
家までの道のりを、颯太と並んで歩く。
「ありがと。」
「それにしても、ほんまにすごいな。…演劇部、今何人いるんやっけ?」
「3学年合わせて、52人」
「そんだけ多い中でメインに選ばれたんやろ?」
「うん。」
藍沢光梨(あいざわひかり)。
演劇部所属の高校2年生。
私の所属している演劇部は、毎年のように全国演劇コンクールで全国大会に出場し、優秀賞を受賞している。
部員も多くて、コンクールに出場するキャストは部内オーディションで決定する。
今年のオーディションも、だめだと思っていた。
よくて、台詞ひと言の、役名のない役。
だって。
「演劇部の中には、演劇科の奴もおるわけやんな?」
「うん。」
演劇学科。
1学年、30人の1クラス。
演技実技や演劇史、
演劇に関わる全てを勉強する専門の学科。
「そん中で大役に選ばれるってことは、ほんまにすごいことやん。」
「…うん。」