光の翼【編集中】
「…なんか、光梨らしくないなぁ。」
家の裏手にある児童公園。
並んでブランコを漕ぐ。
長く伸びて揺れる影の中で、颯太が口を開く。
「え…?」
「…いや、始まる前から弱音吐くなんて、光梨らしくないなぁ、と思って。」
「…そうかな?」
「うん。…だって、光梨はいつも考えるより先に行動に移すやろ?」
「そう?」
「ほら、受験の時かって。」
私が第一志望校を決めたのは、出願の2週間前。
うちの学校の演劇学科。
実技試験の対策どころか、演技の「え」の字も知らなかった。
「いきなり、『演劇学科受ける!!』って言いだして。
先生もおじさんもおばさんも『急すぎる』って止めてるのに、全然言うこと聞かへんかったやん。」
「…あれは…。そうせずにはおれんかった、って言うか…。」
「あの時は光梨、『落ちたらどないしよ』なんてこれっぽっちも思ってなかったやろ?」
「うん。」
あの時は、ただただ演劇の世界に入りたくって。
演劇がしたくって。
それだけで必死だった。
結果は、惨敗だったけど。