光の翼【編集中】
「だからさぁ、まだ練習始まってもないのに弱音吐くなんて、いつもの光梨らしくないんちゃう?」
「…。」
颯太が、ブランコを降りる。
降りた時の勢いで、一歩、二歩、足を進める。
「なぁ、光梨?」
「ん?」
前を向いたまま私に顔を見せずに颯太が言う。
白い制服のシャツが、夕日に染まってオレンジ色に見える。
「光梨、頑張ってるやん?」
「…。」
「演劇学科は、…あかんかったけど。普通科入って、演劇部入部して。」
「…うん。」
「部活、一回も休んだことないし。」
「…うん。」
「家でも、基礎練習とか、やってるんやろ?」
「…うん。」
「オーディションの前も、一生懸命台本読んで、台詞の意味考えて、頑張って練習してた。」
「…うん。」
「頑張ってるやん。」
「うん。」
不思議と、颯太の言葉はすうっと私の中に入っていく。
不安で硬く絡まったなった私を、ゆっくりとほどいていく。