光の翼【編集中】
「ただいまー。」
私の部屋。
誰もいるはずのない空間。
なんとなく、つぶやいてみる。
演劇を始めてから、台詞や早口言葉の練習をするようになって、一人で声を出しても変に思わなくなった。
ちょっと変わった、私の癖。
「夢、…かぁ。」
かばんの中から台本を取り出して、1ページ目をめくる。
キャスト表の右から3番目。
【 ナナ 】
私の役。
主人公ではないけれど、物語の鍵を握るキーパーソン。
『期待されてるんやと思うで?』
颯太の声が頭の中で木霊する。
「よしっ。」
その声に答えるように、台本の、自分の箇所にマーカーを引いた。
最初から、一つづつ台詞を拾ってみる。
不安なら、自信がないなら、練習するしかない。
だって、私は天才じゃない。
練習あるのみ。
それが、『期待に応える』ってことだと思うから。