隣の山田君

・通夜

18時―


パラパラと雨が降る中、

山田君の通夜が営まれた―



ご両親はずっと

ボーっとしたまま立っていた。

友人が励ましの言葉を送ると涙を流し始めた。

妹は何も分かっていないかのように

お母さんのスカートを握り締め

不安な表情をしていた。


私は通夜の経験も始めてだった。

山田君との別れを惜しむと言うよりは、

次々に前に出て

みんながしている事の方が気になった。

私もしなきゃいけないのかなぁ…。

何してんだろ…?

少し横向いて見せてくれたっていいじゃん―

ドキドキしながら順番を待ち、

みんなと一緒に並んで前に出た。

手際良く線香をあげているみんなが、

私より大人に見えた。

< 18 / 63 >

この作品をシェア

pagetop