隣の山田君

私が山田君の記憶を探りながら思い出に浸っていると

山田君のお父さんがマイクの前に立った―


「本日は沢山の方に参列いただき、

 光男も喜んでいることと思います―


 光男はとてもいい子で、

 何一つ文句を言わず育ってくれました。

 私の実の子じゃないですが、

 私のことをお父さん、お父さん、と呼んで

 慕ってくれていました―

 いや、慕ってくれていると

 思い込んでました―

 
 光男!悩みがあるんなら

 死ぬ前に私に相談して欲しかった…。

 死にたい程の思い―

 分かってやれなくてゴメンな。

 本当にゴメン・・・・。」


山田君のお父さんはその場に泣き崩れた―

会場のみんなはその言葉にもらい泣きした―


みんなが泣くから、

恥ずかしくないって思って

私も泣いた―


決して無理やり泣いたんじゃないよ

今まで我慢してただけなの―

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