隣の山田君
「山田君はどのようなお子さんで?」


「凄くおとなしい子でした。」


「仲がいいお友達は?」


「・・・・・。

 ちょっと分かりかねます。」


「担任ですよねぇ?」


「はぁ…。すみません。」


「最近変わった様子は?」


「いえ―特に…。」


「イジメられてる様子は?」


「私は感じなかったんですが―

 先日、アンケートを取ると1名の名前が浮かんできまして―

 塚本洸です―」


警察官の緊迫した空気と

何も知らない教師と言うレッテルを貼られるのが怖くて、

私は思わず塚本の名前を売ってしまった―

すまない…


「ほう。気付かなかった?」


「はい…。」


「まぁ、仲がいい友達を知らなくらいですからねぇ~。」


警察官の嫌味が無情にも私の心に刺さった―

教師失格だ・・・

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