隣の山田君
―私(妻)は下の子を抱きしめた。

旦那の小さい背中を眺めながら、

子供に同意を求めるかのように

呟いた…。


「なんで…なんで…

 うちの家計ばっかりこんな目に…

 光男を奪った上でパパまで…

 嫌ぁ…

 パパ…

 そんな事してないわよねぇ?

 そんな嘘…

 信じないんだから…。」


私は悲しみの底に現れる悲しみを経験した…

もう何が起きても怖くない

何があっても立ち向かっていける―

そんな気がした。
< 54 / 63 >

この作品をシェア

pagetop