幼なじみは俺様アイドル



屋上だから私はお構いなしに泣いていた。


「あれ?誰?」


「へっ…うぅ」


誰?…そう言いたいけど、泣いていて思うように声が出せない。


しかも、涙のせいで視界がぼやけて誰なのかもわからない。


分かることはただ一つ。


…男の人だってこと。


「…どうしたの?」


「ふぇっ…うぅなんっでも…ないでっす…!」


やっとの思いで途切れ途切れの言葉が出せた。


…一人で大泣きできると思ったのに。


「なんでもなくないでしょ?…まぁ、とにかく泣いてなよ?俺が、ここにいてあげるから…な?」


その声でもっと涙があふれてきた。


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