涙空
幼き故の熱情
――――――…
「遅かったね。ていうかなんで二人一緒に帰ってきたのよ」
「頭が回らなくて…」
「すごい疲れた顔、…あれ?隈治ってる?」
「え、怜香も気付いてたの?私の隈」
「見るからに真っ黒だったからね」
戻ってきた頃には授業も終わっていて。
当たり前だけど二人で一緒に教室に入れば注目の的だった。
すると、怜香が私に手鏡を手渡してきた。
「顔、見てみたら?保健室で藤崎に治してもらったの?」
「…まあ」
「顔赤いけど」
「スルーしてください」
手鏡の中に自分を映してみれば、…確かに赤い。
目許を見ると、隈は格段に薄くなっていた。す、すごいな郁也。
郁也様様だわ。