涙空
「数学だったんだ…」
「なんでそんな顔してんの?」
「いや、だってね?私昨日…桐谷先生に呼び出されて…」
「数学?…ああ、今回も悪かったんだ?」
言いながら、怜香が自身の髪を指先で弄んだ。
ちらりと視線を、郁也に持って行く。本人は全く気付いてない。
「…郁也もだけど、…怜香、今回満点だったんだね」
「あれは問題が簡単だったから」
「私赤点でしたけど!」
しかもクラスで最低だなんて、それはない。
私なりに頑張ってる…つもりだったのに。なんなんだ、あの点数は。