涙空
あんな夢、なんで見るようになったんだろう。この前なんて隈が出来ちゃったからね。
…それも、郁也はともかく、担任にまで気付かれるとは。驚きだ。
「…にしても」
ぽつりと、冷たいフローリングに言葉が落ちる。
―――――なんであんなリアルな夢を見るの?
リアル、過ぎた。聞き覚えのある声に、伸ばされる真っ白な手。
自分に触れた指先は、死人のように、酷く冷たかった。
「、」
思い出すだけで、ぞくりと体中に鳥肌が立つ。
それが嫌で、気持ち悪くて、あの夢を振り落とすように、強くかぶりを振った。