涙空



私が持論を吐き出した直後、怜香は心底嫌そうに顔を顰た。

しかもその口から出た言葉は「まず体験したくない」だなんて。

駄目だよ怜香。夏樹君に言ったらショック死しちゃうかもしれないよ。




「な、夏樹君死んじゃうよ」

「死にはしないと思う。…ていうか、佳奈って免疫ないんだね」

「あるはずがありませんよね」

「まあ佳奈だしね」




そう言って、怜香は笑った。なんで笑うかな。

免疫なんてあるはずがない。だって私と郁也ですよ、私とあの郁也。

経験が浅いのは仕方ない以外に当て嵌まる言葉が無い。




「私が免疫あったらそれこそ郁也は大逸れた変態道まっしぐらになってたと思う」

「それを真顔で言えるあんたがすごいよ」



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