涙空
「…なに?」
髪を耳にかける。胸元まで伸びた髪は、少し邪魔くさい。
でも私、ショート似合わないし。暫くはこのままでもいいか。
「疲れてる?」
「え?」
「…なんか、あったでしょ」
「…怜香?」
「なんかあったね。あんた」
真っ直ぐな視線が、真っ直ぐに私を貫く。
ああ、そっか。怜香って勘が鋭い。しかも、人の変化にすぐ気付く。
そういう意味だと、案外怜香も怖い部類なのかもしれない。
「別に、何もないけど」
「言いたくないなら別にいいよ。でもそろそろ体調崩すよ、佳奈」
「……」