涙空




「…なに?」




髪を耳にかける。胸元まで伸びた髪は、少し邪魔くさい。

でも私、ショート似合わないし。暫くはこのままでもいいか。




「疲れてる?」

「え?」

「…なんか、あったでしょ」

「…怜香?」

「なんかあったね。あんた」




真っ直ぐな視線が、真っ直ぐに私を貫く。

ああ、そっか。怜香って勘が鋭い。しかも、人の変化にすぐ気付く。

そういう意味だと、案外怜香も怖い部類なのかもしれない。




「別に、何もないけど」

「言いたくないなら別にいいよ。でもそろそろ体調崩すよ、佳奈」

「……」



< 128 / 418 >

この作品をシェア

pagetop