涙空



「どんな夢?」




素直に疑問だけを私にぶつけてくる怜香。でも、その瞳の裏になにが隠れてるのかわからない。

私からきっと、…なにかを探りだそうとしてる、気がする。




「…誰かに名前を呼ばれる夢だよ」

「…、」




はっと息を呑む声。その瞳が、驚いたように見開いた。

なんだか居心地が悪い。思わず、ふいと視線を逸らした。




「…ごめん、聞かなきゃ良かったね」

「や、気にしないで。気にされたら、ほら、私もなんかさ」




苦笑を零す。ああ、ほらまた、――――苦々しさを含んだ顔をする。

嫌だったのに。――――だから、嫌だったのに。



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