涙空



「中学の時と何一つ変わらないよね、藤崎って」

「郁也が変わったらそれこそ世界の終わりだよ」

「あんたは彼氏をなんだと思ってるの」

「…」




怜香は私に言う。…彼氏をなんだと思ってる、って…。


え?屁理屈な天才少年だと思ってますけど何か。

そう思ったけど口には出さず、心の中で留めておく。




郁也の方へ向けていた視線を、ぱっと自分の方へ戻した。

万が一、あの郁也に聞こえてたら後が危ない。




「言ったら明日どうなるかわからない」

「…それ独り言?」

「独り言です」




怜香が困ったように私に聞くもんだから、とりあえず淡々と返しておく。

…郁也についての学習能力だけはあると思う、私って。



< 14 / 418 >

この作品をシェア

pagetop