涙空
すっと足元に下ろしていた視線を上げる。
違う、…違うよ。逃げたかったわけじゃない。
だけど、弱々しく否定することしか出来ない。
きっと、怜香が真実に触れてるから。
「…違う」
掠れた声で伝えようとした言葉は、もしかしたら否定の部類には入らないのかもしれない。
やっぱり、胸が痛いと叫んでる。
「じゃあなんでよ。なんで、あれだけの夢があるのに、あんたは逃げてきたの?」
「だってそれは!」
「…弱いからでしょ。佳奈、弱いんだよ、あんたは」
「…っ」
親友の言葉は、ずしりと私にのしかかる。