涙空



その事実が、鋭いものに変わって、胸を噛む。




「頼ればいいじゃん、あたしに。藤崎に」

「、」

「なんで頼らないの?…藤崎に話せないのは、また大切な人を傷付かせないため?なくさないために話さないの?」

「…、怜香」

「じゃあなんであたしには話したのよ。佳奈にとって、『あの話』って、そんなに軽々しいものだった?」

「違う!」




今度は弱々しさなんて、どこにもなかった。

違う、違う、違う!
声を荒げて否定すればするだけ、どこか悲しくなった。

だけど、違うから否定するんだ。軽々しいものなわけがない。




「…、私、怜香にしか話してない」

「…なら、頼ればいいじゃん。あたしに、辛いときは辛いって言ってよ」



< 153 / 418 >

この作品をシェア

pagetop