涙空
確か今の授業は――――…たらり、冷汗が背中を伝った。
「……数学…だった、よね?」
「数学だったけど」
「最悪だ…」
まさか、寝てしまうなんて。よりによって数学?最悪以外に言葉が出てこない。
サアーっと全身から血の気が引いていくような錯覚に捕われる。…いや、本当に引いてる。
「…あ、後でノート見せて」
黒板にはなにも書かれていない。…もう消されたんだろう。
郁也にそう頼めば、「起きてればよかったのに」さも当たり前のように言う。…いや、当たり前なんだけどさ。