涙空



「……また、【怖い夢】見た?」

「、」




郁也の瞳が、どこか切なげに揺れた。…ゆらゆらと、静かに、揺れた。

それを見た瞬間、自分が殆(ほとほと)情けなく思った。同時に、悲しいとも思った。



怜香に『軽々しいものだった?』そう言われた、私の過去。

それを怜香に伝えたように、どうして私は、この私を心配してくれてる彼に、言えないのだろう。


彼の表情に、困惑に似た色をこぼしてしまったのは私だ。

なのにどうして、それを拭い取ってあげることすら、出来ないのだろう。



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