涙空



「…親友なら、なんでもわかってなきゃいけないのか?」

「…え?」




夏樹はなかなか、あたしを離そうとしない。

この時間帯なら、通行人がいないなんてことはまずなくて。

「夏樹、」羞恥から逃れたい一心で声を喉から搾り出す。それを聞いて、夏樹はゆるゆると手を離した。




「、どういう意味…?」




夏樹の言葉。

――――【親友なら、なんでもわかってなきゃいけないのか?】


どういう意味?




「そのままだよ。…怜香はさ、親友の全部を知らなきゃいけないのか?それが【親友】のルールなのかよ」

「…それは、」

「じゃあ俺は?俺、郁也のことなんて、上辺しか知らないかもしれないけど。全部なんて知れるわけない」

「…、」



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