涙空
蟠りを飲み込む
―――――――…
郁也に手を引かれたまま学校から出た。
頭に引っ掛かって離れないでいる、さっき見た怜香の表情。…なにを考えてたんだろう。
「ねえ郁也」
「なに」
「…怜香、どうしたんだろう」
「…間宮?」
「うん。…なんか、考え込んでた」
俯くと、郁也についていく自分の履いたローファーが視界に入る。
怜香は唇を噛み締めながら、机と睨み合うかのように俯いてた。
「…怜香って、考え込むときに、唇をさ、こう、噛み締めるんだよ」
言いながら、私はきゅっと唇を噛み締めた。
こんなふうに。いや、もしかしたらもっと強く、血が滲むくらいかもしれない。
「結構強く噛み締めて、俯くんだよ」
「…佳奈」
「…なに?」