涙空



ぶつかった言葉。生まれたのは、…怜香の後悔だったのか。

私の揺らぐ心が、生んでしまったのか。親友の、後悔を。



「…私の、所為。怜香、私に言ったこと、後悔してるんだ」




独り言のように、だけど郁也に届くように、静かに呟く。




「…」

「…あ、」




そこで、はっとして口走っていた唇を閉ざした。



―――――そうだ。郁也は知らないんだ。



【怜香が私にあの日話したこと】と【私の過去】は、知らないんだった。

やってしまったと気付いたときにはもう遅くて。




「…、」




郁也は気付いていないだろうけど、その表情に、少しばかりの苦々しさが滲んだ。

自分では気付いてないんだろう。…でも、そのままでいい。気付いて欲しくない。


そう思うの、おかしいのかな。



< 181 / 418 >

この作品をシェア

pagetop