涙空
ぶつかった言葉。生まれたのは、…怜香の後悔だったのか。
私の揺らぐ心が、生んでしまったのか。親友の、後悔を。
「…私の、所為。怜香、私に言ったこと、後悔してるんだ」
独り言のように、だけど郁也に届くように、静かに呟く。
「…」
「…あ、」
そこで、はっとして口走っていた唇を閉ざした。
―――――そうだ。郁也は知らないんだ。
【怜香が私にあの日話したこと】と【私の過去】は、知らないんだった。
やってしまったと気付いたときにはもう遅くて。
「…、」
郁也は気付いていないだろうけど、その表情に、少しばかりの苦々しさが滲んだ。
自分では気付いてないんだろう。…でも、そのままでいい。気付いて欲しくない。
そう思うの、おかしいのかな。