涙空
「…ごめん、いきなり。…電車、間に合うかな」
「まだ時間あるから」
「…そうだね」
軽く、笑う。
嫌だなあ。いまの笑顔は乾ききってた。
緊張して、喉がカラカラに渇く。…どうしよう、落ち着かないし、緊張する。
ぶるぶると、緊張と不安から震える指先を隠す。
「…話して」
私の緊張と不安に気付いてるのか否か。妙に優しげに促す郁也。
―――――ごくり、生唾を飲み込んでから、口を開いた。
「…話すよ、言わなかったこと全部、話すから。だからもし郁也が私を嫌いになったら、拒絶して良いから。…郁也が私のことを嫌いになっても、良い」
「…佳奈」
「――――だから、」
「…、」
「最後まで、聞いてくれる?」