涙空
お母さん
――――――…
「あれ、佳奈?もう帰って来てたの?今日は早かったね」
「お母さん」
真っ赤なランドセルを背負ったまま、玄関で靴を脱いでいた私。
がちゃりと扉が開いたかと思ったら、お母さんだった。
ぎっしりといろんなものを詰め込んだ近所のスーパーの袋を二つ、両手からぶら下げている。
「ごめんね、買い物してたの」
「いっぱいあるね。お母さん、重くなかった?」
「大丈夫。お母さん、力持ちだから」
どさ、お母さんが家の中に荷物を置いた。