涙空
その手で私の頭を撫でながら、
「おかえり。今日は楽しかった?」
お母さんはそう聞いた。一度頷いて、口を開く。
「うん、楽しかったよ。今日も怜香と遊んだんだー。怜香、すごく足が速いんだよ」
「そう。怜香ちゃん、足が速いんだ」
優しく微笑んで、お母さんは私の頭から撫でていた手の平を離した。
お母さんはいつも優しく笑う。だから私も、お母さんと話すときは笑顔になれる。
「じゃあ佳奈、手洗ってからランドセル、部屋に置いておいで」
「うん」
「そしたらお母さんのお手伝い、してくれる?」