涙空



その手で私の頭を撫でながら、




「おかえり。今日は楽しかった?」




お母さんはそう聞いた。一度頷いて、口を開く。




「うん、楽しかったよ。今日も怜香と遊んだんだー。怜香、すごく足が速いんだよ」

「そう。怜香ちゃん、足が速いんだ」




優しく微笑んで、お母さんは私の頭から撫でていた手の平を離した。

お母さんはいつも優しく笑う。だから私も、お母さんと話すときは笑顔になれる。




「じゃあ佳奈、手洗ってからランドセル、部屋に置いておいで」

「うん」

「そしたらお母さんのお手伝い、してくれる?」



< 188 / 418 >

この作品をシェア

pagetop