涙空



「…今昼休みだよね」

「うん?あ、お昼」

「…行きたいとこ、あるから付き合って」

「行きたいとこ?」




後ろにいた怜香を振り返ったままの私に、怜香は弁当の入ったバックを片手に言う。


それを視界の中にいれてから、まだなにも自分が用意していないことに気付く。

やばい、テストに気を取られてた。急いで自分の昼食を引っつかむ。

視線を怜香に滑らせてから一言。




「いいけど、どこ行くの?」




そう問い掛けると、怜香は「遅い」私の用意するまでのマイペースさに、苛立ったように言ってから、




「保健室」




歩きだしながら、そう言った。



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