涙空
「嘘」
ぴしゃりと否定されてしまった。思わず「否定すんの早い」言ってしまったくらいだ。
だけど怜香は私から視線を外さない。なにかを強く問い質そうとしてくるわけではないけど、なにかを求めているのはわかった。
溜息を吐き出しそうになって、寸でのところで飲み込む。
駄目だ駄目だ。幸せに逃げられたら困る。
「…そんな大それたことじゃないけど」
一階の保健室からは、校庭の所々で昼食を済ませる中学生が見える。
それに視線を向けて、二回ほど瞬きをした頃に、怜香から、言葉が返された。
「…いいよ、言って」