涙空
「…わからなかった?」
「うん」
怜香も弁当箱を開けて、箸でつつき始めた。
ぱくり、箸で口にお菜を運ぶ。美味しい。
「…なんでもない、って言われて、結局わかんなくて。その後はいつも通りでさ。はぐらかされちゃったんだよね」
「ふーん…」
「なんかあったのかな」
そう怜香に聞いたところで、怜香は私の母親ではないのだから、答なんて知らないに決まってる。それはわかってるのに。
やはり拭い切れていない不安はあった。落ち着かない。
「…なんか、あったのかな」