涙空
「でも、なんでもないって言ったんでしょ?」
怜香が言った。
その箸は私の弁当箱の中から卵焼きを盗んで、口に放り込まれてく。
「うわ、美味しい」
「ちょ、それ私の」
「ああ、ごめんね。はいこれお返し」
「なんでお返しピーマンなの」
「あたしの口に合わなかったから」
「小学生か!食べろよピーマンくらい自分で!」
思わず受け取っちゃったけど!箸で渡されたから受け取っちゃったけど!
単に怜香がピーマン嫌いなだけじゃん。
「二年前までは小学生だったじゃん」
「二年って結構あると思いますけどね」