涙空
ぱくり、仕方ない。ピーマンを口に運ぶ。別に嫌いじゃないし。
そりゃ、今は中学二年だし二年前は小学生だったけどさ。
それでも730日間だからね。
「…考えすぎなんじゃないの?佳奈の考えすぎ」
「…そう、かな」
【考えすぎ】。…ああ、お母さん言ってたな。確かそれ。考えすぎって。
思いだしながら、動かしていた手を止める。
「…それなら良いんだけどさ」
「佳奈は考えすぎるとこあるからね。深く考えない方がいいよ」
「…うん」
時計をちらりと一瞥すれば、昼休みはあと少ししかない。
急いで食べないと間に合わないかもしれない。怜香を見れば―――もう食べ終わってる。