涙空
「なに?」
止まった指先から視線を外して怜香に移す。
怜香は私に困ったような表情をして、言葉を静かに落とした。
「佳奈はさ、さっきも言ったけど考えすぎるところ多いから」
「…」
「返って疲れるよ、それじゃあ。佳奈に負担かかるだけ」
「…そんなことないよ」
怜香は真剣そうに表情を換えてから私に言った。
曖昧な返答ばかりの自分に嫌気がさす。
「…あんまり深く考えないで良いと思う。あたしは」
「…そうだね、そうするよ」
ゆるゆると笑みを浮かべた私。だから怜香も笑ったのか。それはわからなかった。