涙空
「そこ違う」
「……」
郁也に言われて、…ああそうか。理解した。
……この人、
「そこも違う」
「それ軽い助言だけじゃん!どうせなら解き方を教えてよ!」
「そしたら野崎の力にならないから」
「その優しさいらない」
―――私に教える気、ない。
「やり方教えて」
「だから野崎の力が伸びないだろ、教えたら」
「……」
それから、結局、課題が終わることは無かった。
郁也は私に『そこ違う』指摘してくるだけで、一人でするのとあまり変わらなかった気がする。
「これだけ時間費やした意味ってあった?」
「私に聞かないで欲しいわ」
二人、がたんと席を立った。