涙空
「決めてない」
「…そうか」
「…決めろって言わないの?」
予想に反して、お父さんは軽く相槌を打ってきただけで。
疑問に眉を八の字にした私から、ぽたりとこぼれ落ちた問い掛け。
「…決めろって言ったら明日には佳奈の進路が決まるのか?」
真っすぐな瞳は、足に縛りつくようだった。
その視線から逃れないのか、単に私が逃げないだけなのか。
どちらにせよ、視線から離れないことには変わりないのだけれど。
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