涙空
「……」
「決めてないならこれから決めれば良いよ。焦ってるなら焦らなくて良いから。…佳奈はさ、どうしても周りに合わせようとするだろ」
「…別に、」
「してるんだって。…焦ってるんだろ?周りが進路を着着と決めてるから自分も決めなきゃいけないって。…わかりやすいんだよ、佳奈は」
「……」
唇を固く閉じて、顔を顰た。
なんで、そんなに【私】のことをわかってるんだろう?
自分のことなのにまるでわからないのに。なんでお父さんは、お母さんは…わかるんだろう?
それが、なんだか嫌だった。気に食わなかった。
だから顔を顰めて、お父さんを見つめた。ソファから後ろを振り返って、じっとお父さんを見つめた。