涙空
「そんな睨むなや」
「…」
がたん、音をたててお父さんが腰を上げた。
ゆるゆると歩き出した彼を気にせず細めた視界の中で捉える。
なんか、嫌。
反抗期とかそういうのじゃなくて、…自分でもわからないことを、自分より理解されてること。
それが嫌。だって、私のことなのに。なんでわかるの?
そういうの、気に入らないんだってば。気に入らないの。嫌なの。
「…なんで私のことなのに」
呟いた声は、いつの間にか近くまで来ていた彼にぶつかった。
まだ睨み上げたまま。いや、もしかしたら反抗期なのかもしれないな。