涙空
「睨むなって」
「痛っ、」
額に、ビリッと走った痛み。弾かれた指先の所為だ。
「…っ」
この人、…デコピン、してきたんだけど。信じられない。
見開いた目でお父さんを見れば、してやったりの顔。…おいおい。
「ちょっと、何すんの」
「いや?一人娘を甘やかし過ぎちゃったかなーと思ったから」
「話振ってきたのそっちじゃん!痛いし!信じらんない!」
痛い。ひりひりと痺れたような痛みを訴えてくる額を押さえながら、言った。