涙空
「……そう、なの?」
「ああ」
気づかなかった。ただ単に、人手が足りなくて、それで娘の私に頼んできたのかと思ってた。
…その時点で気付くべきだった?…いや、でも、気付く筈ない。私じゃ、気づかない。
「…知らなかった」
ぽつり、冷たいフローリングに落とした本音。
それを拾い上げるかのように、お父さんは声を上げた。
「…お節介だって言ったらそれまでだけどな。由奈は由奈なりに、佳奈のこと心配してたんだよ」
「…、」
「あいつはああいう性格だからな。それなりのこと、してやりたかったんだよ」
「……」