涙空
「嬉しがってた。…楽しかったんだろ?幼稚園の手伝い」
「…楽しかった、けど」
なんだか、すこし申し訳なく思う。眉を八の字にしたまま、お父さんの言葉に返す。
それは、楽しかった。楽しかった、けど。
…なにも知らなかったんだよ、そんなことをお母さんが思ってたなんて。
進路のこと、いつのまにかそんなに心配をかけていたなんて。…気が付かなかったんだ。
悲しげに落とした言葉にお父さんは、予想に反して、いつも通りに返してきた。
「…なんで佳奈がそんな顔するんだよ。由奈も俺も、ただ佳奈の進路をすこし手助けしただけじゃん」
「、」