涙空
お父さんのその瞳に映る自分は、きっとどうしようもないくらい弱々しい人間なんだろうな。
そんなことを、ふと思ってしまった。自分自身が嫌になる。
吐き出しそうになる溜息を押さえ付けるように飲み込んだ。
…なんだか気持ち悪い。
「別に、由奈と同じ道を歩けって言ってるわけじゃない。佳奈は佳奈で、行きたい道を歩けば良いよ」
「…行きたい道?」
「やりたいことをやれば良いよ」
「…、」
『やりたいことをやれば良いよ』
その言葉を、脳裏で復唱した。ぐるりぐるり、脳裏で駆け回るコトバ。
すると次の瞬間、お父さんはふっと悲しさに揺れた顔を晒して、言った。
「…俺と由奈が死ぬまでは、見守ってられるんだから」