涙空
「…なにそれ」
「だから良いよ、佳奈はやりたいことをやれば」
「…逆効果だよ。死ぬまでとか言われたら」
息苦しい。笑いとばす私を見るその瞳は、未だに暗いままな気がした。
どんよりと空気が重くなったようなこの場所。
「…そうだな。大袈裟すぎたな」
「…なんでそんな例え出すの」
「…なんとなくだよ」
「…」
――――【なんとなく】では、ない気がした。
だって、お父さんは明らか何かがあったような顔をしてる。
…さっき、自分で言ったでしょ。私はお父さんとお母さんの【一人娘】なんでしょ。
…揺れた父親の瞳に、気付かない筈がなかった。