涙空
「…話がある、っていうのは、…夢の話なんだけどね」
「…夢?」
夢って、お母さんが夢を見たってこと?…それだけなのに、喫茶店に足を運ぶまでの話なんだろうか。
ふと疑問符を浮かべた私に、お母さんは「なにか頼もうか」メニューを手に取りながら言った。
「佳奈、なにがいい?」
「…チーズケーキ」
「好きだよね、チーズケーキ。じゃああたしもそれにしようかな」
ふわりと笑ったお母さんからメニューへと視線を移す。
豊富なメニューの中から二人して同じものを注文した。
通り掛かったウエイトレスにお母さんが「すみません、チーズケーキ二つお願いします」言った。