涙空
「…でも正夢じゃないから、絶対に。…真に受けて、馬鹿みたいだよね」
「…え、」
お母さんが笑う。その表情から不安は拭いきれていない。
寧ろ、はっきりと不安の色が残っている。
チーズケーキは半分以上彼女の胃に収まったらしい。
一方で私のチーズケーキは、一欠けら私の胃に食されただけだった。…ああ、はやく食べないと。
これだから駄目なんだ。こうやって話に集中し過ぎてしまって、食べることをついつい忘れてしまう。
かちゃかちゃとフォークの音を鳴らす私に、お母さんはどう感じたのだろう。
全てを私に話した彼女は今なにを思っているのだろう。
そんなことを思う。…また、チーズケーキを口に運んだ。