涙空
話しながら足を動かしていれば、お母さんの言っていた交差点までたどり着く。
さっきより一層深くなった彼女の眉間の皴に、流石に私自身も不安を隠せないでいた。
「……」
夢の話を、思い出す。
…そういえば。夢の中で死んでしまった大切な人って、誰なんだろう。
お母さんは、もしかして私だと思ってるのかな。そんなわけない。私はそんな簡単に死ぬはずないのに。
そんなことを脳裏で考えていると、不意に耳に届いた隣にいたお母さんからの謝罪。
「…佳奈、…ごめんね」
「え?なにが?」
「不安にさせて、ごめんね」
「…お母さん?」