涙空
「私だってこんな点数取る気はなかったんだよ?採点ミスだと思いたいよ私だって」
「採点ミスでは無いと思う」
「わかってるからショック受けてるんじゃん」
答案用紙に赤ペンで書かれた点数を、今一度目を凝らして見てみる。
…うん。何度見ても変わらない。21点。
「俺が寝る間も惜しんで教えたのにね」
「ごもっともです郁也さん」
「まさかこんなに野崎の頭が空っぽだとは思わなかったよ」
「それ以上言わないでいただけますか」
郁也が切なげに笑った。ごめんなさいね、私の頭が空っぽで。
ていうかそんな切なげな笑顔を浮かべないでいただきたい。