涙空
お母さんは腹部からの出血が酷かったらしい。
らしい、なんて言い方しか出来ない。だってお母さんの顔は、青白いけれど、生きているじゃないか。
【生】が、そこにはあるじゃないか。そう思ってるのは、私だけ?
「…怖かっただろ。…ごめんな」
「…なんで」
お父さんが私の頭に手を置いて、撫でた。
やっとそこで、一筋、涙がツー、流れた。
なんで、謝るの?一緒にいた私を一番に責めたいはずなのに、
愛してた人を、かえらぬ人にしてしまった私を恨んでるはず、なのに。
なんで、頭を撫でたの。なんで、謝ったの。
ぼろぼろと涙が溢れ出てきた。その場に、嗚咽を吐き出しながら崩れ落ちた。