涙空
三日ほど前から、お父さんの弁当は私が作るようになった。
今日からは自分の弁当も作ることになったけど。
散々、周りから不器用だと言われてきただけあって料理なんて手慣れてるはずもなく。
弁当だって、毎朝悪戦苦闘してる。それでもお父さんは文句ひとつ言ってこない。
今日の出来栄えも酷い。ぱたんと蓋を閉じて、仕舞う。
今日からは学校に行かなくちゃいけない。ちゃんと心配してくれた周りの皆に、お礼を言わなくちゃいけない。
「…お母さん、…行ってくるね」
ふいにリビングに飾ってあった写真に視線を向ければ、写真の中で微笑む家族三人。
その中の端にいたお母さんに、小さく呟いた。