涙空



そんなことを考えて、また込み上げる不安に、表情を歪めた。

誰も見ていないのをいいことに、小石をこつん、こつんと蹴りながら進んでみる。



でも、すぐにつま先から反れて、逃げるように道路へと転がっていってしまった。

視線を足元から上げる。とくに気にすることなくまた歩き出した。




「……」




逃げる場所が欲しい。…そんなこと願ったところで、そんなものは手に入らないけれど。

さっきの小石のように、忌ま忌ましい記憶を蘇らせる道路でも良いから、安心して呼吸の出来る逃げ場が、欲しい。



…ああ、もう。
視線をゆるゆる上げて、校舎を見上げた。


…あーあ。学校に、着いちゃった。



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