涙空



担任には昨晩の内に連絡を入れておいた。葬式のときにも会ったし声も聞いた。

葬儀のときと同じように対応してくれた声は、とても悲しそうだった。…私のことを心配してくれたんだと思う。


明日からは行きます。そう言った私に、担任はまだ休んでいても良いんだぞ、などと言っていた。

軽く首を横に降りながら否定したけど、きっとまた合ったら心配そうな顔をするんだろうな。


そんなことを思いながら教室へ続く廊下を歩く。

普段と変わりなく賑やかな廊下。



時折声をかけられる。「あ、佳奈ちゃん!…もう大丈夫なの?」心配そうな表情と一緒に。




「…大丈夫だよ。ありがとう」




へらりと笑う。

きっと反応に困ってるんだ。なんて言ったら良いのかわからないんだ。…私が笑ってるからだろうな。




「心配してくれてありがとう」




軽く手を振れば、力無く笑ってくれた。

…今日一日は、きっと皆あんな表情をしながら私に挨拶するに違いない。



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